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タイムカードの15分単位の切り捨ては違法?1分単位の原則と、認められる端数処理

タイムカードの15分単位の切り捨ては、労働基準法の賃金全額払いの原則に反します。1分単位が原則である理由、行政通達で認められる1か月単位の端数処理、16分働いた日の数え方、放置したときのリスク、着替えや朝礼の扱いを、条文と厚生労働省の資料をもとに解説します。

ハイパーエンジニアくん
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毎日の労働時間を15分単位で切り捨てるのは認められない。認められるのは、1か月の残業・休日労働・深夜業それぞれの合計に出た1時間未満の端数を、30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げる処理だけ

「タイムカードは15分単位で締めている」「残業は15分たまってから申請してもらっている」。こうした運用を続けている会社は、今も少なくありません。結論からお伝えすると、毎日の労働時間を15分単位で切り捨て、その分の賃金を支払わない運用は認められません。 労働時間は1分単位で数えるのが原則です。

一方で、行政通達には「1か月の残業時間の合計」に限って端数をまとめてよい、という例外があります。この例外と、毎日の切り捨ての違いを取り違えている例がとても多いのが実情です。

この記事では、従業員の勤怠を管理する経営者・総務担当の方に向けて、次の順でご説明します。

  • 労働時間が1分単位で数えられる理由
  • 認められる端数処理の範囲
  • 15分単位の切り捨てを放置したときのリスク
  • 打刻が遅れた場合や、着替え・朝礼の時間の扱い
  • 打刻プラス(dakoku.plus)での記録と集計
  • よくある質問

法律の記述は、2026年10月時点で条文と厚生労働省・労働局の資料をもとに確かめています。個別の事情で結論が変わる場合もありますので、判断に迷うときは社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

労働時間は1分単位が原則(15分単位の切り捨ては認められません)

根拠は労働基準法第24条の「賃金全額払いの原則」

労働基準法第24条は、賃金を「通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定の期日を定めて」支払うよう定めています。このうち「全額を」の部分が、賃金全額払いの原則です。

働いた時間には、その分の賃金が発生します。毎日の始業・終業を15分単位で切り捨てると、たとえば8時間14分働いた日は8時間分しか支払われず、14分ぶんの賃金が支払われないまま残ります。厚生労働省の資料も、1日ごとに一定時間に満たない労働時間を一律に切り捨てて、その分の賃金を支払わないことは、労働基準法第24条または第37条(割増賃金)の違反になると明記しています。

賃金全額払いの原則に違反した場合は、30万円以下の罰金の対象です(労働基準法第120条)。

「1分単位はいつから?」への答え

「労働時間 1分単位 いつから」と検索される方が多いのですが、ある日から新しく始まった決まりではありません。働いた分の賃金を全額支払うという第24条の原則から導かれる考え方で、毎日の切り捨てが認められない点は以前から変わっていません。

あわせて、2019年4月に施行された改正労働安全衛生法では、会社が従業員の労働時間の状況を把握することが法律上の義務として定められました(労働安全衛生法第66条の8の3)。把握の方法は、タイムカードやパソコンの使用時間の記録などの客観的な方法が原則とされています。日々の記録を正確に残すことが、これまで以上に求められています。

15分単位が使われてきた理由

15分(0.25時間)の区切りにそろえると、紙のタイムカードと電卓でも給与の計算が楽になります。15分単位の集計が広まったのは、この手間を減らすためだったと言われています。今も「タイムカードはなぜ15分単位なのか」と調べる方が多いのは、その名残だと考えられます。

ただ、計算が楽になることと、切り捨てた分の賃金を払わなくてよいことは別の話です。区切りを使うなら、働いた人が損をしない向き(切り上げ)にそろえる必要があります。

よくある「15分単位」のパターン

次のような運用は、どれも毎日の切り捨てにあたります。

  • 出勤は15分単位で切り上げ、退勤は15分単位で切り捨てて記録する
  • 残業は15分に満たない分を申請させない、または申請を受け付けない
  • 給与計算のときに、日ごとの労働時間の端数を15分単位で落とす
  • 遅刻した5分を「15分の遅刻」として15分ぶんの賃金を差し引く

最後の遅刻の例は、実際に働かなかった5分を超えて賃金を差し引いている点が問題です。働かなかった時間を超える差し引きは、減給の制裁として扱われ、労働基準法第91条の上限(1回の額が平均賃金の1日分の半額まで、総額が1回の賃金支払期の賃金総額の10分の1まで)の範囲で、就業規則に定めがある場合に限られます。

認められる端数処理の範囲

1か月の合計に限って、30分を境にまとめられる

例外として認められているのが、昭和63年3月14日の行政通達(基発第150号)による端数処理です。内容は次のとおりです。

  • 対象は、1か月の時間外労働・休日労働・深夜業それぞれの合計時間
  • その合計に1時間未満の端数が出たとき
  • 30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げる

たとえば、ある月の残業時間の合計が20時間20分なら20時間、20時間40分なら21時間として割増賃金を計算できます。切り捨てだけでなく切り上げもあるため、常に働く人の不利になるわけではなく、事務を簡単にするための扱いとして認められています。

毎日の始業・終業を丸めることは含まれません

ここで大切なのは、この例外が「1か月の合計」に対するものだという点です。毎日の始業・終業の時刻を15分単位に丸めることや、日ごとの残業時間の端数を切り捨てることは、この例外には含まれません。

「通達で端数処理が認められているから、15分単位で締めても大丈夫」という理解は誤りです。日々の記録は1分単位で残し、月の合計を出したあとで、必要なら30分を境にまとめる、という順番になります。

切り上げる分には問題ありません

1日の労働時間のうち一定時間に満たない分を切り上げ、その分の賃金を支払うことは問題ありません。働いた時間より多く数える扱いは、賃金の不払いを生まないためです。「5分働いたら15分として払う」という運用は、会社の負担は増えますが、法律上の問題にはなりません。

16分働いた日は、何分と数えますか

15分単位の運用でよく迷われるのが「16分」のような半端な時間です。答えは、16分は16分として数えます。15分に切り捨てて1分ぶんを払わない扱いは認められません。一方、30分に切り上げて払う扱いは、働いた時間より多く数えるので問題ありません。

計算例で比べてみます

所定の終業が18時の従業員が、ある週に次の時刻で退勤したとします。

  • 月曜日: 18時14分(残業14分)
  • 火曜日: 18時29分(残業29分)
  • 水曜日: 18時08分(残業8分)
  • 木曜日: 18時44分(残業44分)
  • 金曜日: 18時11分(残業11分)

毎日15分単位で切り捨てると、月曜日0分、火曜日15分、水曜日0分、木曜日30分、金曜日0分で、この週の残業は合計45分になります。実際の残業は合計106分なので、1週間で61分ぶんの賃金が支払われないことになります。これが、認められない毎日の切り捨てです。

ある週の残業。月曜14分・火曜29分・水曜8分・木曜44分・金曜11分で、実際の合計は106分。毎日15分単位で切り捨てると45分になり、61分ぶんの賃金が支払われない

1分単位で記録すれば、この週の残業は106分としてそのまま残ります。これを1か月分積み上げた合計が、たとえば12時間40分になったとします。通達の範囲で端数をまとめるなら、40分は30分以上なので切り上げて13時間として割増賃金を計算できます。合計が12時間20分なら、12時間として計算できます。

このように、まとめてよいのは「月の合計」の端数だけで、その手前の日々の記録は1分単位のまま残しておく必要があります。

15分単位の切り捨てを放置したときのリスク

労働基準監督署からの是正の求め

労働基準監督署の調査で、日々の切り捨てや記録と実態のずれが見つかると、是正を求められます。賃金台帳には労働時間数などを記入する義務があり(労働基準法第108条)、記入しない場合や事実と異なる時間を記入した場合も、30万円以下の罰金の対象です(労働基準法第120条)。

さかのぼって未払い賃金を請求される

切り捨てた時間の賃金は、未払い賃金として後から請求される可能性があります。賃金を請求できる期間は、2020年4月1日以降に支払期日が来る賃金について5年(当分の間は3年)です(労働基準法第115条・第143条)。

1日あたりは数分でも、従業員数と期間を掛けると大きな額になります。たとえば、1人が毎日平均7分切り捨てられ、月20日勤務、時給換算1,500円とすると、1か月で140分、つまり約3,500円です。従業員20人で3年分となると、約250万円にのぼります(割増賃金を考えない単純な試算です)。

裁判では付加金を命じられることもあります

割増賃金などの未払いについて裁判になった場合、裁判所は未払い額とは別に、付加金の支払いを命じることがあります(労働基準法第114条)。付加金を請求できる期間も5年(当分の間は3年)です。

記録の保存義務

タイムカードなどの労働時間の記録は、労働基準法第109条にもとづいて5年間(当分の間は3年間・第143条)保存する必要があります。切り捨てた記録しか残っていない場合、実際の労働時間を説明できず、会社にとって不利になりやすくなります。

見直すときの進め方

15分単位の運用に心当たりがある場合は、次の順で見直すと混乱が少なく済みます。

  1. 今の就業規則・賃金規程と、給与計算の実際のやり方(どこで端数を落としているか)を確かめる
  2. 打刻の記録を1分単位で残し、給与計算でも日々の端数を切り捨てない形に改める
  3. 月の合計で端数をまとめる場合は、通達の範囲(30分未満切り捨て・30分以上切り上げ)に収まっているかを確かめる
  4. 従業員に変更点と開始日を説明する
  5. 過去の切り捨て分の扱いは、社会保険労務士などの専門家と相談して決める

記録の仕組みを先に整えておくと、2以降の作業が進めやすくなります。

打刻が遅れた場合と、着替え・朝礼の時間の扱い

労働時間かどうかは「会社の指揮命令下にあるか」で決まります

最高裁判所は、労働基準法上の労働時間とは、働く人が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、それに当たるかどうかは客観的に決まるもので、就業規則などの定めで決まるものではない、と判断しています(三菱重工業長崎造船所事件・最高裁判所第一小法廷 平成12年3月9日判決)。

同じ判決では、業務の準備行為などを事業所内で行うよう会社から義務づけられていたり、そうせざるを得なかったりする場合、その時間は労働時間にあたるとされました。作業服や保護具の着脱にかかる時間も、この考え方で労働時間と判断されています。

厚生労働省のガイドラインが挙げる「労働時間にあたる時間」

厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)は、次のような時間を労働時間として扱うよう示しています。

  • 会社の指示で行う、業務に必要な準備行為(着用が義務づけられた制服への着替えなど)や、業務終了後の後始末(清掃など)を事業場内で行った時間
  • 会社の指示があればすぐに業務に取りかかれるよう待機している時間(いわゆる手待ち時間)
  • 参加が業務上義務づけられている研修・教育訓練を受けた時間や、会社の指示で業務に必要な学習などを行った時間

参加が義務になっている朝礼やミーティングも、この考え方に照らすと労働時間にあたると考えられます。

打刻のタイミングと実態がずれるとき

よくあるのが「着替えてから出勤の打刻をする」「打刻したあとに片付けをする」といった運用です。この場合、打刻の時刻と実際に指揮命令下に入った時刻がずれます。ガイドラインは、始業・終業の時刻を、会社が自ら確認するか、タイムカードなどの客観的な記録をもとに確認するよう求めています。

出勤の打刻の前に着替えや朝礼がある場合、その時間も労働時間にあたるため、打刻が実際より遅くなる。着替えや朝礼の前に打刻するルールにすると、記録と実態がそろう

ずれを減らすには、次のような対応が考えられます。

  • 着替えや朝礼が業務として必要なら、その前に出勤の打刻をするルールにする
  • 片付けが終わってから退勤の打刻をするルールにする
  • 打刻を忘れたときや遅れたときは、本人が修正を申請し、管理者が確認して直す流れを決めておく

打刻プラス(dakoku.plus)での記録と集計

1分単位で記録し、1分単位で集計します

打刻プラス(dakoku.plus)は、打刻の時刻を1分単位で記録し、働いた時間も1分単位で集計します。給与計算用のCSVの書き出しも1分の精度です。15分単位などで時刻を丸める設定はありません。日々の記録はそのまま残り、月の合計をどうまとめるかは、給与計算の段階で通達の範囲内かどうかを確かめながら決められます。

月の合計は、管理画面で残業・深夜を分けて確かめられます

管理画面の月次の集計では、従業員ごとに残業・休日労働・深夜の時間を分けて確かめられます。給与計算用のCSVも、通常・残業・深夜の時間を分けて書き出せます。通達の端数処理は「それぞれの合計」に対するものなので、この分け方のまま使えます。月の残業が45時間に近づいた方の確認もできます。

LINEとブラウザで打刻でき、アプリのインストールは不要です

従業員は普段使っているLINE、またはパソコンやスマートフォンのブラウザから打刻できます。新しくアプリを入れる必要はありません。LINEのトークからの打刻に位置情報は付きません。打刻場所の確認が必要な場合は、管理者が位置情報の記録をオンにしたうえで、Web打刻をあわせてご利用ください。

打刻を忘れたときは、従業員が修正を申請し、管理者が承認する流れで直せます。申請と承認の記録が残るため、後から「いつ、誰が、なぜ直したか」を確かめられます。

人数に関係なく無料です

打刻プラス(dakoku.plus)は、人数に関係なく初期費用0円・月額0円で使えます。紙のタイムカードや15分単位の集計表から切り替える際の費用はかかりません。

打刻プラス(dakoku.plus)に無料で登録する

よくある質問

Q1. 15分刻みで勤怠管理をするのは違法ですか?

日々の労働時間を15分単位で切り捨てる運用は認められません。労働基準法第24条は賃金の全額払いを定めており、働いた時間の一部を切り捨てて支払わないことは賃金の不払いにあたります(違反には30万円以下の罰金・第120条)。労働時間は1分単位で記録するのが原則です。例外として、1か月の時間外労働・休日労働・深夜業それぞれの合計時間に1時間未満の端数が出た場合に限り、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる扱いが行政通達(昭和63年3月14日 基発第150号)で認められています。毎日の始業や終業を15分単位に丸めることは、この例外には含まれません。

Q2. 残業を15分単位で申請させるのは問題ですか?

申請の単位を15分にすること自体よりも、15分に満たない残業の賃金を支払わないことが問題です。実際に働いた時間は1分単位で記録し、その分の賃金を支払う必要があります。

Q3. 時給のアルバイト・パートも1分単位ですか?

はい。雇用形態にかかわらず、労働基準法第24条の賃金全額払いの原則が適用されます。時給制の方も、働いた時間を1分単位で計算して支払う必要があります。

Q4. 就業規則に「15分単位で計算する」と書いてあれば有効ですか?

労働時間にあたるかどうかは客観的に決まるもので、就業規則の定めで決まるものではない、というのが最高裁判所の考え方です(三菱重工業長崎造船所事件)。就業規則に書いてあっても、働いた時間の賃金を切り捨てる運用は認められません。規則の見直しは社会保険労務士にご相談ください。

Q5. 15分単位で切り上げるのは違法ですか?

働いた時間を切り上げて、その分の賃金を払うことは問題ありません。たとえば10分の残業を15分として払う扱いです。ただし、出勤の打刻を15分単位で遅い時刻にそろえる処理は、働いた時間を減らす向きなので「切り上げ」ではなく切り捨てにあたります。どちらの向きに丸めているかを確かめてください。

Q6. タイムカードがない場合はどうすればよいですか?

タイムカードという道具そのものは義務ではありませんが、労働時間を客観的に把握する義務はあります。詳しくは「タイムカードがない会社は違法?必要な記録と、無料で始める代わりの方法」をご覧ください。

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出典と確認日

この記事の法律の記述は、2026年10月時点で次の資料をもとに確認しています。